人気ブログランキング | 話題のタグを見る

夜のジンファンデル


好きな女流作家、篠田節子さん。
ホラーっぽい作品の中に表題作だけばりばりの恋愛小説。

いつもながら面白いの。
現実的なようで、幻想的で、うっすら怖くて、でも綺麗。

「夜のジンファンデル」は精神的な不倫の話だけど、
プラトニックだからこそ、葡萄を摘むシーンはきれいで悲しいのね。

怖いのは「コミュニティー」団地に住んだことのある人なら絶対わかるはず。
鍵も掛けずにどこかの家に集まって、日がな子守とお茶飲みの毎日。
そんな不自然な生活が、自分の中で普通になっていくの。
もちろん小説では、もっと非現実的なラストなんだけど。

短編集は読みやすくていいんだけど、篠田さんの小説ががっつり長編が好き。
重くて、不思議で、でも綺麗な作品がまた読みたいわ。

夜のジンファンデル

篠田 節子 / 集英社