夜のジンファンデル
好きな女流作家、篠田節子さん。
ホラーっぽい作品の中に表題作だけばりばりの恋愛小説。
いつもながら面白いの。
現実的なようで、幻想的で、うっすら怖くて、でも綺麗。
「夜のジンファンデル」は精神的な不倫の話だけど、
プラトニックだからこそ、葡萄を摘むシーンはきれいで悲しいのね。
怖いのは「コミュニティー」団地に住んだことのある人なら絶対わかるはず。
鍵も掛けずにどこかの家に集まって、日がな子守とお茶飲みの毎日。
そんな不自然な生活が、自分の中で普通になっていくの。
もちろん小説では、もっと非現実的なラストなんだけど。
短編集は読みやすくていいんだけど、篠田さんの小説ががっつり長編が好き。
重くて、不思議で、でも綺麗な作品がまた読みたいわ。
by rusk-1212
| 2009-05-12 22:50
| 本とか読書感想とか
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